リスバカ日誌2

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エゾリス、ナキウサギ、野鳥などの写真で綴る移住者の日記

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講演会「都市化したエゾリス」~聴講してわかったこと

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先週末、帯広で講演会「都市化したエゾリス」が開かれ、参加してきた。
講師は、北海道大学大学院在学中の研究者・内田健太さん。
 
参加者がとても多いのに驚いた。60~70名ぐらいいただろうか。
 
内田さんによると、都市に住む野生動物の生態は、あまり研究がなされていないとか。
野生動物だから、都市に住む場合は研究対象外とされてきたらしい。
 




 
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しかし、野生動物が都市に住むことによって動物にどんな影響があるのか。人と野生動物が都市で共存するにはどうしたらよいのか。詳しく掘り下げようと、選んだ研究対象がエゾリスだった。
 
エゾリスは都市公園や神社などに生息し、札幌でも帯広でも身近な存在だ。
その生息密度は野生よりもかなり高いと言われている。
 
帯広の街中に住むエゾリスを「街のリス」、郊外の森に住むエゾリスを「田舎のリス」として、その生態を比較した。
 
都市に住むことで想定される問題は、
1.人間に対する警戒心が薄くなる
2.生活リズムが変わるかも
3.都市環境にいることでストレスが加わるかも
4.交通事故による死
などだ。
 
主な内容は、北海道大学のHPにも記載されている。
http://noah.ees.hokudai.ac.jp/envmi/koizumilab/pick-up/%E9%83%BD%E5%B8%82%E5%8C%96%E3%81%AB%E4%BC%B4%E3%81%86%E3%82%A8%E3%82%BE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E8%AD%A6%E6%88%92%E5%BF%83%E3%81%AE%E5%AD%A3%E7%AF%80%E6%80%A7%E3%81%AE/
 
街のリスは、人間に対する警戒心が薄く、平均すると6m程度まで接近を許す。それに対して、田舎のリスは19m程度と3倍も距離が遠い。しかも、田舎のリスは子育てをする春は距離が遠くなり、餌をため込むことに夢中な秋はやや距離が短くなるが、街のリスは季節による距離の変化が見られないという。
 
街のリスは餌付けされていることが多いので警戒心が薄くなるのではないか、としている。また、人間が住んでいることで他の天敵が少なく、捕食される心配が少ないことも警戒心の薄さに関連があるかもしれない。
 
田舎のリスは、むやみに動き回ることが捕食されるリスクを増大させるので、最低限の動きで済ませるようにしているかもしれない、とのこと。
 
私の経験では、十数年前にリスを撮りだしたときは、リスからよく警戒音をもらった。たとえば、好奇心旺盛な子リスが、何も考えずに人間に近づくと、見守っていた母リスが警戒音を出して、子リスを引っ込ませたことがあった。
何年か経ってから、そうした警戒音を聞くことがほとんどなくなったのが気になっている。
先日はとうとう私に向かってきたリスがいたわけだし。
 
数年前は、大量にヒマワリの種を蒔いているところがあった。驚いたことに、エゾリスがヒマワリの種を食べている傍らでカラスもヒマワリの種をついばんでいた。大量に種があるせいか、両者の距離は近いのにお互いを警戒する様子も見られなかった。
 
 
さて、内田さんの発表に話を戻す。
生活リズムについては、リスに照度計付の首輪をつけて測った。
巣は暗いので照度計が0を記録するそうだ。11月の測定結果では、田舎のリスは午前7時半に巣を出て、午前11時には巣に戻ってきて活動が終わる。街のリスは、朝6時には巣を出て午後2時まで活動する。活動時間は2倍以上もある。
 
しかも、街のリスは活動量が多く、休憩時間が少ないそうだ。
 
餌付けで餌が多く、捕食者が少ない。こうしたことから、生息密度が自然の環境よりも高いというのは合点がいく。
 
 
しかし、リスと人間との距離が近くなることで問題も起こりうる。
 
交通事故で帯広だけでエゾリスが年間50匹ぐらい死んでいるそうだ。
 
帯広の緑が丘公園では、エゾリスに引っかかれてけがをした人がいる。
ヨーロッパでは、病原菌を持ったリスに引っかかれて亡くなった人がいるそうだ。
調べてみると、リスはペスト菌の媒介もするそうで、そういうことを知ると、手でエゾリスに餌をあげようなんて思わなくなるはずだが。
 
もし、人とエゾリスとの過度な接触で人が死ぬなどの問題が起これば、エゾリスが害獣だとみなされることもあるだろう。人間は勝手な生き物だと思う。
 
 
内田さんは、人とエゾリスのつきあい方について何か結論を語ったわけではない。
というか、彼はまだ研究の途中である。でも、都市に住むエゾリスが置かれている状況を学術的に解き明かそうとしているのはとても興味深い。
 
人と野生動物の共存の問題は、エゾリスだけではない。
カラスとかハト、ムクドリとか、いろいろありそう。
 
 
ちなみに、内田さんの発表は、クスッとした笑いありで、なかなか楽しかった。
ホームページも持っているそうなので、良かったらどうぞ。
http://kenta-hp.wix.com/
 
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by koppel055 | 2016-05-25 22:26 | エゾリス | Trackback | Comments(0)